不妊の原因は男女ともにあり!
正しく知ることで、妊活の第一歩が踏み出せます!!

妊娠を望んでもなかなか授からない——
そんな悩みを抱えるカップルは決して少なくありません。
厚生労働省の調査では、日本では約22.7%(約4.4組に1組)の夫婦が不妊治療を経験しており、年々その割合は増加傾向にあります。
特に晩婚化やライフスタイルの多様化により、不妊は“誰にでも起こりうる身近な問題”となっています。
不妊というと「女性側に問題がある」と思われがちですが、実際には男性にも女性にも原因があることが分かっています。
さらに、検査をしても明確な異常が見つからない「原因不明不妊」も全体の10〜15%程度を占めます。
不妊治療の第一歩は、まずその原因を正しく理解すること。
そして、それぞれに合った治療法を知ることで、妊娠への可能性が広がります。
不妊の原因は大きく分けて「4つ」

1. 女性側の原因
女性の体の中で排卵・受精・着床といった妊娠に関わるプロセスに何らかの障害があるケースです。
ホルモンバランスの乱れによる排卵障害や、卵管の詰まり、子宮の病気などが主な原因です。
2. 男性側の原因
精子の数や運動率の低下、性機能の問題など、男性側に妊娠を妨げる原因があるケースです。
生活習慣や加齢によって精子の質が低下することもあります。
3. 両方に要因があるケース
女性と男性の両方に軽度または中等度の不妊要因が見られるケースです。
単独では妊娠の可能性がゼロではないものの、複数の因子が重なることで妊娠が難しくなることがあります。
4. 原因不明不妊
検査をしても明確な原因が見つからないケースで、不妊全体の約10〜15%を占めます。
体外受精などの高度不妊治療を通じて妊娠に至るケースも少なくありません。
【女性に多い、不妊の原因と治療法】

卵管因子(詰まり・癒着など)
割合:
もっとも多く、女性不妊の約32〜42%を占める
主な原因:
- クラミジアなど性感染症
- 子宮内膜症
- 骨盤内手術の既往
主な治療法:
治療法 | 内容・特徴 | 備考 |
---|---|---|
抗生物質治療 | クラミジアなど感染症による卵管炎に使用。早期発見・治療が重要。 | 感染症が原因の場合に有効 |
通水治療(卵管通水・選択的卵管造影) | カテーテルで卵管を広げて詰まりを改善。非手術的。 | 負担が比較的少ない |
卵管鏡下卵管形成術(FT) | 内視鏡で閉塞部を確認・広げる日帰り手術。 | 保険適用あり。治療時間15〜20分 |
腹腔鏡手術 | 卵管周囲の癒着を剥がして通りを回復させる手術。 | 子宮内膜症や過去の炎症などに対応 |
ホルモン療法 | 子宮内膜症などの進行を抑える。偽閉経・偽妊娠状態を作る。 | 副作用に注意 |
体外受精(IVF) | 卵子と精子を体外で受精→受精卵を子宮に戻す。卵管を通らず妊娠可能。 | 最も普及している治療法 |

排卵障害(ホルモンの異常)
割合:
こちらも多く、約30〜47%を占める
主な原因:
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
- 高プロラクチン血症
- 極端なやせ/肥満
- 強いストレスや生活習慣の乱れ
主な治療法:
治療法 | 内容・特徴 | 適応・対象 | 備考 |
---|---|---|---|
タイミング指導 | 基礎体温や超音波で排卵日を予測し、妊娠しやすい時期に性行為を促す方法。 | 軽度の排卵障害・周期が安定している方 | 妊娠の第一歩として推奨 |
排卵誘発剤の使用 | 内服(クロミフェン・レトロゾール)や注射(FSH・hMG)で排卵を促す。 | 排卵障害全般 | 多胎妊娠・OHSS(卵巣過剰刺激症候群)に注意して使用 |
ホルモン療法 | 無月経の方に対し、周期的にホルモン(卵胞・黄体)を投与し排卵誘導。 | 視床下部・下垂体性の無月経 | 長期的に体のリズムを整える治療 |
インスリン抵抗性改善薬の併用 | メトホルミンなどを排卵誘発剤と併用し、排卵を助ける。 | PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)など | 生活習慣病対策も兼ねる |
腹腔鏡下卵巣多孔術(LOD) | 卵巣表面に小さな穴を開け、排卵を促す手術。内服や注射で効果が出にくい方に適応。 | 重度PCOSや薬剤効果が乏しい方 | 腹腔鏡手術。1回の施術で効果が続くことも |
子宮因子
割合:
2〜7%
主な原因:
- 子宮筋腫(特に粘膜下筋腫)
- 子宮内膜ポリープ
- アッシャーマン症候群(子宮内膜癒着)
主な治療法:
治療対象 | 治療法・内容 | 特徴・備考 | 妊娠への影響 |
---|---|---|---|
子宮筋腫(特に粘膜下筋腫) | ■子宮鏡下手術(内視鏡で筋腫を切除) ■ 腹腔鏡手術または開腹手術(大きい・深部筋腫の場合) | 妊娠の妨げとなる粘膜下筋腫は切除対象。体への負担は比較的軽め。 | 粘膜下筋腫除去で妊娠率改善が期待できる |
■ホルモン療法(GnRHアナログ) | 筋腫を一時的に縮小させる。根本治療にはならない。 | 一時的な改善、治療の前段階として使用 | |
子宮内膜ポリープ | 子宮鏡下ポリープ切除術(鉗子で切除) | 比較的簡単な日帰り手術。麻酔使用あり。 | 着床障害の改善に有効 |
子宮内腔癒着(アッシャーマン症候群など) | ■子宮鏡下癒着剥離術 ■術後にIUDを留置(癒着予防) | 妊娠・月経異常の原因となる癒着を物理的に剥離。再発防止が重要。 | 着床環境の回復が期待できる |
子宮環境の補助療法 | 漢方(当帰芍薬散・温経湯など)やサプリ(ラクトフェリン・ビタミンE・葉酸など)の併用 | 血行促進、ホルモン調整、子宮内膜の質改善に効果が期待される | 他の治療と併用で妊娠率向上が期待できる |

その他(頸管因子・免疫因子)
主な原因:
- 抗精子抗体の存在
- 頸管粘液異常(粘液が少ない・粘度が高い)
主な治療法:
分類 | 主な治療法 | 内容・特徴 | 適応・補足 |
---|---|---|---|
頸管因子 | 人工授精(IUI) | 精子を直接子宮内に注入し、頸管粘液の影響を回避 | 粘液不足・粘性異常などに有効 |
抗生物質治療 | 頸管炎・感染症(クラミジアなど)の改善 | 感染が原因の場合 | |
排卵誘発剤の調整 | クロミフェンの副作用による粘液減少時に、注射剤に変更など | 粘液分泌低下への対策 | |
免疫因子 | 顕微授精(ICSI) | 精子を卵子に直接注入し、抗体の影響を回避 | 抗精子抗体が強く影響する場合 |
人工授精(IUI) | 軽度の抗体陽性時に有効なケースもあり | 抗体の程度によって判断 |
【男性に多い不妊の原因と治療法】

造精機能障害(精子形成障害)
割合:
圧倒的多数で、男性不妊の約80%を占める
主な原因:
- 精子の数が少ない(乏精子症)
- 精子の運動率が低い(精子無力症)
- 形態異常が多い(奇形精子症)
主な治療法:
治療分類 | 主な治療法 | 内容・特徴 | 適応・備考 |
---|---|---|---|
根本的治療(手術) | 精索静脈瘤手術 | 精索静脈瘤を結紮して血流を改善し、精子の質を改善。 | 精索静脈瘤による造精障害に有効 |
精路再建手術 | 精管や精巣上体の閉塞を再建(パイプカット再建・精管吻合など) | 閉塞性無精子症が対象 | |
薬物・ホルモン療法 | hCG/FSH注射療法 | 視床下部・下垂体の障害によるホルモン不足に対してホルモンを補充 | 低ゴナドトロピン性の性腺機能低下に有効 |
補助的薬物療法 | 抗酸化サプリ、血流改善薬、ビタミン、漢方などを生活改善と併用 | 軽度障害や体質改善目的に | |
生殖補助医療(ART) | 人工授精(IUI) | 精子を子宮内に注入するシンプルな方法 | 軽~中等度の精液異常に |
体外受精・顕微授精(IVF/ICSI) | 精子数・運動率が極端に悪い場合、またはTESE(精子採取)との併用で実施 | 重度造精障害、無精子症など | |
その他の治療 | ED・射精障害の治療 | ED治療薬や心理的カウンセリングなどを併用 | 性機能障害がある場合 |
生活習慣改善 | 栄養・禁煙・睡眠・ストレス管理など | 精子の質向上をサポート。体づくりの基本として重要 | 全体的な体質改善・補助療法としてすべてに共通 |

精路通過障害/性機能障害
割合:
比較的低め
主な原因:
- 精管閉塞・欠損
- 勃起障害や射精障害
- 内分泌異常
主な治療法:
分類 | 主な治療法 | 内容・特徴 | 適応・補足 |
---|---|---|---|
精路通過障害 | 精路再建手術(精管吻合・精巣上体吻合など) | 閉塞している精管や精巣上体をつなぎ、精子の通り道を再建 | 閉塞性無精子症、過去のパイプカットなどに対応 |
TESE(精巣内精子採取術) | 精子が精路を通れない場合に、精巣内から直接採取 | 顕微授精(ICSI)と併用されることが多い | |
性機能障害 | ED治療薬(PDE-5阻害薬) | 勃起不全に対して、バイアグラ・シアリスなどを処方 | 勃起障害(ED) |
カウンセリング・心理療法 | 心因性の性機能障害に対して、カウンセリングや夫婦指導を行う | 心理的要因が強い場合 | |
射精誘導・採精補助(振動刺激・電気刺激など) | 射精障害や逆行性射精のある人に対し、射精を補助する方法 | 精子採取の一手段として用いられる |
【両方に要因があるケース/原因不明不妊】
どちらか一方に治療しても改善しない場合、両者の複合要因が疑われます。
女性・男性ともに要因が見つかるケースは、不妊カップルの約24%、つまり4組に1組程度!
さらに、「検査上は異常が見つからないが、1年以上の不妊が続く」、いわゆる原因不明不妊は全体の10〜25%を占めるとされます。
検査上は正常でも、実際にはホルモンバランスや卵子・精子の質、着床環境などの要因が潜んでいることもあります。
加齢による妊孕力の低下
- 女性:35歳以降で急激に卵子の質が低下
- 男性:40代以降で精子の質が下がることが研究でも明らかに
ストレスとホルモンバランス
- 自律神経やホルモンに影響し、不妊リスクを高める
生活習慣の見直し
- バランスの取れた食事、適度な運動、良質な睡眠

まとめ

区分 | 主な内容 |
---|---|
女性側の要因 | 排卵障害・卵管の詰まり・子宮の異常・頸管粘液や免疫反応の異常など |
男性側の要因 | 精子の数・運動率・形態異常、精路閉塞、性機能障害、ホルモン異常など |
両方に要因がある | 男女ともに軽度の要因が組み合わさり妊娠を妨げているケース |
原因不明 | 検査では異常が見つからないが妊娠しにくいケース。全体の10〜25%ほどを占める |
不妊の原因は一つではなく、複数の要因が重なっていることも少なくありません。重要なのは「何が原因か」を正確に知り、自分たちに合った方法でアプローチすることです。
不妊治療は一人ひとりに合った方法を見つけることが大切です。
「何が原因かわからない」からこそ、正確な検査と段階的な治療方針が重要です。
今は、自宅でできる検査キットや妊活サプリも豊富にあり、情報収集から始めるのも立派な第一歩ですね。
あなたの妊活が、いつか「笑顔で振り返られる日々」となりますように。
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